2016年9月26日。
青物が不調だと言われてきた今年の大蔵でしたが、ここにきて一気にサゴシ・サワラ・ツバス・ハマチの調子が上向いてきました。

そんな大蔵青物狙いで釣行。今日は、昨年来青物が釣りたい~、青物が釣りたい~と言っているこばさんと同釣です。(^^)

 

潮流表

※『大阪湾海上交通センター』より

潮 ・・・若潮
水温・・・25.1度
天気・・・くもり
風 ・・・おだやか
時間・・・6時半~8時半




雨が止んだ6時に家を出て大蔵へ。こばさんは一足早く駐車場に着いて雨が止むのを待っていたのだが、ぼくの現地着とほとんど同時に波止で合流した。

すぐに仕掛けを用意する。もうすっかり明るくなり、準備する間海を見ていたが、ボイルも無ければイワシの群れが泳いでいるわけでもない。

とりあえずトップからと思い、マヒペン127 クラウンピンクカラーを結ぶ。こばさんは同じマヒペンの107サイズの同色を投げているようだ。

こばさんにとってはマヒペンは、去年から何かとお世話になっている愛着のあるルアーだろう。

ぼくの方はトップで反応がなければミノーに、さらにレンジを落として鉄板でと探っていると、いきなり隣の方でバシン!というボイル音。

見ると大きな水柱が上がっているこちら側にこばさんのマヒペンが動いている。

「自分のトップに出たんか?」

こばさんに声をかける。

「はい」

悔しそうにこばさんが答える。

「派手な出方やったな~。シーバスかな」

「そんな感じでしたね」

こばさんは反応のあったトップを投げ続けていたが、その後しばらく沈黙が続いたため、色々ルアーローテーションしている模様。

ぼくもどのルアーに反応があるのか確かめるように、トップ、ミノー、鉄板、ジグミノーといろいろやってみるが魚からの返事は一向に帰ってこない。

そうこうしているうちに下げの早い潮が流れていた海が、一気に潮が緩くなって表情がガラッと変わった。

こういう状況変化のある時は魚が出る時だ。

「こばさん、今、チャンスやで」

と声をかけようかと思ったその時、こばさんのリールのドラグ音が鳴り響いた。

えっ!?と思ってこばさんを見ると、ロッドが根元からひん曲がっている。

「トップに出たんか?」

「はい!」

こばさんはマヒペンを引き続けていたようだ。

そんな会話を交わしているうちにもどんどんラインが出ていく。

「青物に間違いないな!」

「はい、やっと来ました!」

うれしそうに言うが、安物のシーバスロッドと超安物のリールである。
(こばさん、ゴメン。(^^;)

ラインの出が一向に止まらない。

「だから言うたやろ、リールからライン全部出されて終りになるでって」

「いや、200メートルのラインを巻きなおしたとこなんで、まだ大丈夫です」

「0.8号やろ?」

「いや、1.2号にしました」

「それやったら十分獲れるな。落ち着いていこう!」

「はい!」

と、のんびり会話を交わしているが、ロッドは満月になり、ドラグはずっと鳴りっぱなしである。リールを巻こうにも巻けない状態だ。

「いっそ走らせて沖で弱らせた方がええで。へんに波止際に寄せると敷石に張り付いてラインを切ってしまうからな」

「はい」

ラインの方向と角度を見ると沖の方に走っているようだ。魚は元気なのでここは無理をせず走らせるだけ走らせた方がいいだろう。

しばらくすると魚は左方向へと走り出した。左は波止の角。そしてその左にはテトラ帯がある。今の位置でやり取りしていると波止の角にラインが擦れるかもしれない。

「こっちに来い。こっちでやり取りせえ!」

大きな声で角にいる人たちに分かるように言う。角に入っている人に場所を譲ってもらうためだ。

いっぱい置いてある竿もぼくが勝手にどける。(^^;

こばさんは角の方に来てやり取りをはじめる。ここならとりあえず波止の角にラインが擦れることはない。

ここで魚の走りがちょっと止まった。

「よし、魚も疲れてきた感じやな。今や、リールを巻け。巻けるときに巻け!」

「はい!」

はい、と言いながらこばさんも相当疲れているようだ。去年、何度もシーバスロッドでメジロとやり取りしたぼくとしてはよくわかる。

それでもこばさんは必死にリールを巻く。魚との距離が少しずつ縮まる。

と、今度は魚がさらに左に走り出した。

「アカン、こっちに走らせたらテトラに突っ込む!もっとこっちに来い!」

またまた大きな声で角から左に並んでいた人たちに聞こえよがしに言う。(^^;;

こばさんは「すみません、すみません」と言いながら、その人たちの前を後ろを通って左へと回り込む。完全にテトラ帯を挟んで魚とのやり取りになった。

魚はだいぶ弱ってきたようで、こばさんはリールを巻けるようになってきた。

と、魚が浮いてきて水面で暴れ、水しぶきを上げた。

「よ~し、浮いて来たぞ。もうだいぶ弱ってるぞ!」

と言っても目の前はテトラ帯だ。どうやって取り込むか?

魚はまだ左へ走ろうとしている。

「よし、いっそこのまま向こうのテトラの切れ目まで誘導しよう!」

幸い魚は水面にヒレを出したまま、ゆっくりと左方向へ泳いでいる。

「この距離を保ったままで向こうまで行くぞ!」

「はい!」

リールを巻くことも無く、糸を出されることもないままでゆっくりと魚は左へと泳いでい行く。それに合わせるようにこばさんも左へと歩を進めていく。

「あと20メートル!」

テトラの切れ目までの距離だ。

「あと10メートル!」

「はい!」

ついにテトラ帯を通過した。

寄せた時にテトラに突っ込まれないよう、さらに左に魚を誘導したところでやり取りを再開。

しかし、こばさんがリールを巻こうとするとまた魚はドラグを鳴らして走り出す。魚もここまでゆっくり泳いできて休んでいたのだろう。

案の定、右手のテトラ帯の方に向かっていく。が、こばさんも必至で魚を止める。

ゆっくりと魚が寄ってくる。

デカい!

最低でもメジロクラスだ。

見るとルアーはテールフックが口に、フロントフックがエラのところにかかっている。魚がデカいうえにこんなかかり方をしているからよけいによく引くわけだ。

波止際まで寄せてきても魚は何度も底へと潜ろうとする。

なんとか浮かせてタモ入れしようとするが、エラのところにルアーが後ろ向きについているので、なかなかまっすぐ頭からタモに誘導できない。

何度かタモ入れに失敗してタモを持つぼくは冷や冷やしたが、こばさんが上手くタモに誘導し、なんとかタモ入れに成功した。

「重たい!!」

タモを上げようとした時、思わず声が出てしまった。

タモを引き上げ波止に置く。

ブリ

「おめでとう!」

「ありがとうございます!」

ガッチリ握手だ。

15分~20分はやり取りしただろう。かけたところからタモ入れしたところまで300メートルは移動している。

「なんか涙が出てきました…」

こばさん、本当に目を潤ませている。

計測すると82cm、5.2kg。メジロどころではない、立派なブリだ!

「ひでさんのおかげで…」

こばさん、そう言った後の言葉がでてこない。

無理もない、去年から追い求めてきた青物がようやく釣れ、しかもこだわりのトップで、しかもしかも初青物がブリサイズだったんだから。

こばさんは「ひでさんのおかげ」と言うが、そんなことはない。

以前にも書いたかもわからないが、ショアジギングをやっている人の中には、ボイルが出たらルアーを投げ、釣れなかったら休憩して次のボイルを待つ、という釣り方をしている人が結構いる。

が、そんなことで釣れるほど青物は甘くない。ショアジギングは甘くはない。

もちろんボイル打ちで釣れることもあるだろうが、それは運よく釣れたというだけのことであって、次につながる釣りではない。

なぜ釣れたのか?どんな状況で、どんな潮の流れの時に、どんなルアーで?

この潮でこのルアーで釣れるなら、次はこれを試してみたらどうだろう?

そういう釣りにはつながっていかない。

(釣りは趣味の世界のことだから、どんな釣り方で釣ろうとその人の自由。ボイル打ちだけで釣れればそれで満足というのもその人の釣り方だ。それをダメだなどというつもりは全くない。ただ、そういうスタイルはぼくには合わないというだけのことだ)

しかしこばさんは釣り場にいる間、ひたすらルアーを投げ続けている。ボイルがあろうがなかろうが、こだわりのトップをずっと引いている。

その釣りに対する実直で真摯な姿勢が、今日のブリにつながったのだ。誰のおかげでもない、こばさんの実力だ。

「キープキャスティング!」

このルアーフィッシングの基本中の基本をこばさんの快挙は教えてくれていると思う。

ブリ

こばさんの晴れ姿である。(^^)

こばさんはこの魚を持って帰るため、ここで納竿。

ぼくはその後、ジャクソン アスリートスリム14SS Wアカキンカラーで44cmのハマチを1匹追加。

ハマチ

これで納竿としました。(^^;

ハマチ



使用タックル

ロッド
ダイワ モアザン AGS 99MH


ずっとショアジギング用に愛用してきたがまかつのチータR 110MHにさすがに疲れが見えてきたため、今年からこのロッドを投入することにした。購入の決め手はなんと言ってもその軽さ。ルアーウェイト10g~60gのロッドがなんと147gである。チータRも十分軽いロッドだったが、モアザンのこの軽さはもはや異次元のものだ。これとステラSW 4000XGとの組み合わせで釣りをしていると、シーバスロッドで釣りをしているのと感覚的に大して変りはない。とは言っても、やはりシーバス用の97Mに比べればティップは硬いし調子も違うため、まだまだルアー操作には慣れが必要だ。これから良き相棒になってもらえるよう愛情を注ぎたい。

リール
13ステラ SW 4000XG

ライン
ゴーセン 剛戦ジギング 8BRADO 1.2号

リーダー
東レ スーパーL EX 6号

ヒットルアー
ジャクソン アスリートスリム 14SS Wアカキンカラー