シーバス

2022年8月14日~15日。
次男を連れて夏の沼島にプチ遠征釣行してきました。

明石でもほとんど釣りに行けてなく、また沼島の釣果の事前情報も全くない状態。

あまり良い釣果は期待できそうにもないですが、まあ年中港内に居付いているスズキやチヌなら釣れないこともないでしょう。

と、安易な考えでの沼島釣行。
果たしてどうなることやら…。(^^)

プロローグ

何の前兆もなく、静かな水面に大きな水柱が上がった。

水しぶきが弾け飛ぶ音と同時に、バッコ~ンという捕食音。
ドッグウォークさせていたトップウォータープラグにシーバスがアタックしてきたのだ。

「今の、お父さんのルアーに出たん!?」

派手な音を聞いて、隣でルアーを投げている次男がこちらを見ながら尋ねる。

「おお、そうや!びっくりしたわ~!メッチャ派手な出方やな!!」

風もなく穏やかな表情を浮かべる海に向かい、ルアーを投げ始めて数投目。
まだこころの準備も何もできていないうちの、いきなりのシーバスアタックだった。

「でもハリ掛かりせんかったわ!クッソ~!!」

次男にそんな言葉を投げながら、そのままドッグウォークを継続する。

1メートルほどルアーが進んだところで、再び派手な音とともに海面が爆発した。

「うぉ!また出た!」

海面爆発からワンテンポ遅れて魚の重量感が伝わってきた。

次男がこちらに注目している。

「今度は乗ったぞ!」

次男に声をかけ、ロッドを持つ手に力を入れた。




2022年8月14日/サビキでアジ・カマス

沼島の波止

次男が早朝アルバイトから帰ってから明石を出発したので、沼島に到着したのは昼を過ぎた14時。

まずはお墓参りを済ませ、釣りはそれからだ。
とりあえずライトタックルを準備する。

しかし、、、。

海はちょうどド干潮の時間帯。
真夏の真昼間のド干潮とあって、あっちこっちとウロウロしてみるがどこにも魚の気配がない。

5cmのトップウォータープラグをドッグウォークさせていると、たまにルアーを追いかけてくる魚が見えるのだが、その正体は20cmぐらいのダツ。

沼島汽船が発着する港内から一番遠い南の波止から釣り始め、少しずつ沼島汽船の方へと戻りながらルアーを通していくが、ダツ以外の魚の気配はない。

途中、沼島のおっちゃんに話を聞いたところによると、今年はイワシの姿がまったく見えないらしい。
イワシがいないので、当然、青物などのイワシに付く魚もいない。

「今年はな~んも釣れてへんぞ」

とのことだった。

そうこうしているうちに、とうとう汽船乗り場の隣の波止まで戻ってきた。

とまあ、言葉にすればあっさりしているが、これだけでも2時間はライトタックル片手のランガンをしてきたことになる。
おっちゃんの言うとおり、ホントにな~んも釣れへん。

時計を見ると時間は16時半。
釣りを始めたころに比べると潮もだいぶ満ちてきた。

イワシはいなくても、この時期、豆アジぐらいはいるだろう。
時間的にも潮の状態的にも、そろそろ岸近くに回遊しだす頃なのではないか。

ここで次男のタックルにサビキ仕掛けを付けて試してみることに。
サビキと言ってもアミエビを使ったりはせず、サビキの先にオモリを付けただけの仕掛けだ。

次男は外海に向かってサビキ仕掛けを投げ、オモリが着底するのを待ってからロッドティップを上下させて魚を誘う。

フ~ワ、フ~ワ、フ~ワとサビキ仕掛けを上下させては、リールのベールを起こしてオモリを再着底させる。

ロッドティップを大きくしゃくったり小さくしゃくったりと変化を付けながら誘っていると、魚からの反応があったようだ。

「あっ、当たった!」

次男の声に振り向くと、ロッドティップがガンガンと揺れている。

「重い!よ~引いてるで!」

久しぶりの魚の感触ということもあってか、次男は少々興奮気味だ。

波止周りでも沼島の海は深い。
次男がサビキ仕掛けを投げているあたりで、1.5号のオモリが着底するまで30カウント近くかかる。

リールを巻いていてもなかなか魚の姿は見えてこない。
良く引いてるようなので、何が掛かったんだろうかと思いながら見ていると、ようやく水面下に魚が姿を現した。

ギラギラとひかる白っぽい魚が、サビキ仕掛けにたくさん付いてあがってくる。

「アジや!」

アジ

波止へと抜き上げたサビキ仕掛けには、12、3センチのアジが5連で付いていた。
豆アジとは言え、ライトタックルにこれだけの数が付いていれば重くて良く引くはずだ。

次男は急いで仕掛けを投げ返す。
が、次のアタリがないようだ。

しばらくサビキ仕掛けを投げていた次男だが、

「アジ、5匹だけで泳いでたみたいや」

そう言って、シーバス狙いにチェンジした。

次男のサビキ仕掛けを引き継ぎ、今度はぼくがアジ狙いをしてみることに。
軽く仕掛けを投げてから着底を待ち、ボトムからリフト&フォールの要領でサビキ仕掛けを引いてくる。

何回かしゃくって再着底、再々着底させ、リフトしたロッドティップに魚のアタリが伝わった。

「アタリ、あったで!」

次男に声をかけて仕掛けを巻き上げる。
だが次男がアジを釣った時はもっとガンガンと引いていた感じだったが、そこまで引きは強くない。

何が掛かったんだろう?と思いながら巻き上げてくると、サビキ仕掛けにはやはり複数の魚がかかっている。

アジよりも細身に見える魚を抜きあげてみると、小型のカマスが5連で掛かっていた。

カマス

この後、豆アジの再回遊もあり、夕食までの間、サビキ釣りを楽しむことになった。




沼島のネコは大胆不敵/昨年に続きパンを盗まれる…

「お父さん、パン、盗まれたわ・・・」

「マジか・・・!」

ぼくは思わず絶句した。

夕食の後はアジングでアジと遊んでいたのだが、次男は「疲れた」と言って、先に休憩用(就寝用)のテントに戻っていた。

その1時間後ぐらいにテントに戻ったぼくに、次男が真剣な顔をしてそう告げたのだ。

「去年のお父さんの話を聞いとったから、テントの奥の方に隠してあったんやけどな・・・」

次男の言う“去年のお父さんの話”というのは、昨年の10月にぼくひとりで沼島に1泊2日のエギング釣行したときの話だ。

ルアーやライン等の釣り道具と一緒に、夕食用のカップラーメンやお茶、おやつなどもキャリーワゴンに積んで、波止の漁師さんの邪魔にならないところに置いていた。

キャリーワゴンから少し離れたところで釣りをしていたところ、ガサっという音がしたので振り向くと、ネコがキャリーワゴンから朝食用のパンの袋を咥えて走り去って行ったのだった。

昨年は釣行から帰ってから、「沼島のネコは油断ならん!」と家族に怒りをぶちまけ、今年家を出る前には、「去年の轍を踏まんようにネコには注意せんとアカンな!」と言いながら出てきたのに・・・。

次男の話では、今回はパンを袋ごと盗んでいったのではなく、荷物の奥の方まで顔を突っ込んで袋を食い破ってから、中に入っていたパンを半分ほど食べていたということだった。

何という大胆不敵な犯行・・・。

あなたも沼島釣行の際は、波止に住み着いているネコには十分注意してください。^^;




2022年8月15日/次男念願の初シーバスなるか!?

今回の沼島釣行の一番の目標は、次男がデカいシーバスを釣ることだった。

これまでに次男はハマチやシオなどの青物はルアーで釣っていたのだが、どういうわけかシーバスを釣るチャンスには恵まれてこなかった。

ライトタックルで20cm前後のセイゴはたくさん釣った経験があるが、40cm以上のハネサイズ、60cm以上のスズキサイズには縁がなかったのだ。

沼島港内にはたくさんのシーバスやチヌが居付いている。
そいつらを狙ってぼくも朝マズメに70cmオーバー、80cmオーバーのシーバスを沼島で釣ってきた。

今度はぜひ次男にデカいシーバスを釣らせてあげたい。
二人でそれを今回の沼島釣行の目標にしようと言い合ってきたのだ。

午前3時、次男より一足早く目を覚ましたぼくは、港内を偵察して回った。

他に誰も釣り人がいなかったので、ヘッドライトで水中を照らして見て回ったのだが、ぼくが観察した限りでも、ざっと30匹はシーバスの姿を確認できた。

それも70cmクラスと思える魚が平均サイズ。
中にはひときわ大きい魚影も何匹か確認できた。

後は釣るだけだ。

そんな思いを胸に、あたりがすっかり明るくなった5時に、シーバスタックルを持って次男とともにポイントに入った。

おそらくアジがメインのベイトフィッシュだろうということで、次男には体高があるD-CLAW マリノ 105R サイトピンクカラーを使ってもらうことに。

マリノはダイビングペンシルだが、もちろんドッグウォークさせて使うこともできる。

ぼくはやはり体高があり、朝マズメということで(曇り空で朝焼けはなかったが)、メガバス ジャイアント・ドッグX GGアカキンカラーをチョイスした。

こちらは普通のペンシルなので、ドッグウォークが中心だ。

二人で10メートルぐらいの間隔で並び、それぞれルアーを投げる。
次男はマリノをダイビングさせて使っているようだ。

ぼくの方はリールを巻く速さや首振りの間隔・距離などを変えながら、ジャイアント・ドッグXをドッグウォークさせていく。

ルアーを投げ返すこと数投目。

着水後、ルアーを大きく左右にスケーティングさせながら、リールもゆっくり目で巻くドッグウォークで誘う。

風もなく穏やかに静まり返った水面を、ルアーが波紋を残しながら泳いでくる。
着水から10メートルほど引いただろうか。

いきなり、バッコ~ン!という大きな捕食音と派手な水しぶきが上がった。
一瞬身構えたが、魚はハリ掛かりしていない。

「今の、お父さんのルアーに出たん!?」

「おお、そうや!びっくりしたわ~!メッチャ派手な出方やったな。でもハリ掛かりせんかったわ!」

捕食音と派手な水しぶき。
魚はシーバスに間違いない。

そのままドッグウォークを続ける。
しかしアクションは、少し変えた。

大きなスケーティングを食い損ねたので、今度は細かい首振りをさせてみる。
ロッドティップは速く細かく動かすが、リールはデッドスローリトリーブだ。

最初のアタックで傷つき弱ったベイトが必死にもがいている様子を演出しつつ、移動距離を抑えて食いやすくする作戦だ。

などと考えながらルアーを1メートルほど引き寄せたところで、再び海面が爆発した。

「また出た!」

次男がこちらを見ている。
ワンテンポ遅れて魚の重み・感触が手元に伝わってきた。

「今度は乗ったぞ!」

魚が反転して潜りだすのを確認してから軽く追い合わせを入れる。
ある程度潜った魚が、今度は水面下へと浮いてきた。

シーバスだ。

水面下で激しくヘッドシェイクをする様子が偏光グラス越しにハッキリと見える。
ラインテンションを抜かないようにロッドでためながら引きをいなしていると、また魚は底へと潜りだした。

ドラグが鳴る。

そこそこの重量感はあるので小さくはないと思うが、ドラグが止まらないほど大きな魚でもない。

次男が横にやってきてタモの準備をしてくれる。

魚がまた浮いてきた。
水面下で身をよじりながら大きくヘッドシェイクをする。

と思った次の瞬間、70cmは超えているであろうその体のすべてを空中に踊らせながら、大きなジャンプ&エラ洗いを見せた。

「派手やな~!」

“シーバスフィッシングの楽しみ、ここに極まれり”といった感のある見事なジャンプ&エラ洗いに、惚れ惚れとしながらシーバスとのやり取りを楽しむ。

少しずつ魚が寄ってきた。

「タモ下すタイミング、言うてな」

隣でタモを手にした次男が言う。

トップウォータープラグへのド派手なアタック、全身を空中に翻すジャンプ&エラ洗い、ドラグを鳴らす引き。
次男もまたシーバスとの派手なやり取りのすべてを、横で観戦しながら楽しんでいるようだ。

「よっしゃ、タモ、下ろしてくれ」

次男が水面に下ろしたタモに魚を誘導し、一発でタモ入れ成功した。

シーバス

夜の間、港内の常夜灯の周りにはアジがたくさん集まっていたはずなのに、あまり食べることができていないのか、痩せ気味のスズキだ。

シーバス

ハーモニカ咥えに近い形でルアーを咥えていた。

シーバス

メジャーを当ててみると72cm。
やっと釣れてくれた大型魚に感謝しつつ、タモに戻して水面で丁寧に蘇生し、リリースした。

写真を撮っている間もルアーを投げ続けていた次男に、ぼくが使っていたルアー、ジャイアント・ドッグXを渡す。

ぼくは他のペンシルやミノー、スピンテールジグなども試してみる。

カマス

で、なんか違和感を感じたなと思ったら小さなカマスがご挨拶。

一方、トップに出る派手なバイトを目の当たりにした次男は、それからもひたすらトップを投げ倒した。

たっぷり2時間以上はトップウォータープラグを投げ続けたと思うが、朝マズメのチャンスタイムに、次男に魚が微笑むことはなかった。




エピローグ

「残念やったな」

「ホンマ、残念やわ…」

隣どおしで同じようなトップウォータープラグを投げ、片方に魚が釣れて片方には出なかったのは、“ツキ”のあるなし、魚と出会う“タイミング”以外の何物でもない。

その後も休憩することもなくルアーを投げ続けていたのだから、これはもうどうしようもないだろう。

「9月にリベンジ釣行やな」

「うん」

9月にはまたシーバス・青物狙いで、10月には禁漁期間が明けるアオリイカ狙いで、再度沼島を訪れようと次男と話していた。

「それにしても、沼島のネコはタチが悪いな」

「ホンマやで。テントの奥に入って荷物に顔突っ込んでパン食べるか?」

「よ~し、9月に来るときはパンの中に下剤入れといたろやないか!」

「おっ、それエエな!」

最後は笑いあって8月の沼島遠征釣行を締めくくった。

次(9月)の沼島釣行はシーバスリベンジと、「パン泥棒ネコ」リベンジだ。




沼島のシーバスタックル

ぼくのタックル

ロッド

ダイワ モアザン AGS 99MH

リール

13ステラSW 4000XG

ライン

ゴーセン 剛戦ジギング 8BRADO 1.2号

リーダー

YGK よつあみ G-soul ハイグレードショアリーダー FC ソフト 6号

ヒットルアー

メガバス ジャイアント・ドッグX SW GGアカキンカラー

ベイトのアジに近い体高のある幅広ボディ・アカキンカラーが良い結果に結びついたのかもしれない。

身を横倒しに平打ち・ローリングしながらの左右への首振り、慣性バランサーによるノック音、ハイドロギルが出すスプラッシュ等々、アピール力の高いペンシルベイトだ。

次男のタックル

ロッド

ダイワ モアザン AGS 97M

リール

ダイワ 13セルテート 3012H

ライン

YGK よつあみ G-soul X8 UPGRADE 0.8号

リーダー

YGK よつあみ G-soul ハイグレードショアリーダー FC ソフト 5号