2021年10月26日~27日。
毎晩、満員御礼状態の大蔵海岸を離れ、沼島に1泊2日でエギングの遠征釣行をしました。
淡路島のアオリイカの禁漁期間が明けて約1ヶ月。
アオリイカの新子も大きく成長しているはず。
まあ成長している分、釣るのは難しくなるわけですが、果たして沼島のアオリイカはぼくに微笑んでくれるのでしょうか?(^^)
プロローグ
フォールするエギに全神経を集中させていた時だった。
ガサッという音に後ろを振り向くと、1匹の白猫がナイロン袋を咥えて走り去る姿が見えた。
白猫の後ろにはクーラーボックスなどを積んだキャリーワゴンがある。
ナイロン袋の正体はすぐに察しがついた。
クーラーボックスなどと一緒にキャリーワゴンに置いてあった、明日の朝食用の菓子パンの袋だ。
「あっ、このっ、、こらっ、、、」
声にならない声が出る。
白猫が走り去った方向を凝視しながら、腹立ちまぎれにしゃくったエギにグンッと重さが乗った・・・。
初日:10月26日14時~18時
13時50分淡路・土生発、14時沼島着の船で沼島に渡った。
ロッドにリール、エギなどを入れたバッカン、クーラーボックス、おにぎりやパン、お茶など、1泊2日の遠征釣行に必要な荷物を乗せたキャリーワゴンを引っ張ってポイントに入る。
14時着の沼島汽船から下りた釣り人はぼく一人。
ポイント入りして見える範囲で確認できる釣り人は、エサ釣りらしき人が一人だけだった。
魚の数よりもアングラーの数の方が多い大蔵海岸とは大違いだ。
隣の人との距離を気にすることなく伸び伸びと釣りができる。
が、うれしい反面、心配もある。
これだけ釣り人がいないということは、大した釣果が上がっていない証拠だとも言える。
沼島汽船の船員さんも、
「な~んも釣れてないで」
と言っていた。
まあこれはお決まりのあいさつだと話半分に思っていたが、どうもその言葉はそれほど誇張したものではないらしい。
とにもかくにもタックルを準備。
ユニチカ エギエスツーβ 3.5号 ピンク ゴールドレッドカラーを結んでエギングを開始する。
ガラガラの海に向かって思いっきりエギをキャストする。
引き潮の時間でかなり潮位が下がっているが、それでも沼島の海は深い。
エギをキャストしたのは港内だが、3秒で1メートル沈む3.5号のエギでボトムまで46カウントかかった。
大蔵海岸なら海峡向きに60gのメタルジグをフルキャストした先でも、この3分の2程度の水深しかないはずだ。
ボトムの感触を確かめてから大きく5回しゃくってエギの存在をアピールする。
テンションフォールでエギが再着底するのを待ち、4回ワンピッチジャーク。
テンションフォールとジャークを繰り返しながら、アオリイカのアタリを待つがそんなにかんたんに釣れるはずはない。
2投目。
少しポイントをずらしてエギをキャストする。
他に人がいないのでどこへでもキャストし放題だ。
深い海の底からエギをしゃくりあげてくるが、まあそんなにかんたんに釣れるはずはない。
ポイントを変えて3投目。
まあ、そんなにかんたんに釣れるはずはない。
4投目。
まあ、そんなにかんたんに、、、。
5投目、6投目、、。
まあ、そんなに、、、。
いくら沼島のアオリイカだからと言っても、ま、まあ、そんなに、かんたんには釣れるものではない、、、。
そう自分に言い聞かせながらエギを投げ続けるが、ふと時計を見るともう15時40分。
14時過ぎに釣り始めたからすでに1時間半ほど経過している。
その間アタリはおろか、エギを追ってくるイカの姿も見ていない。
ここで大きくポイントを変えてみることに。
ポイントを変えたついでにエギのカラーもオリーブ スギ グリーンカラーに変更した。
大きなイカを求めて水深のある場所を探っていたが、今度のポイントは波止の付け根の沼島では浅い場所だ。
3.5号のエギをキャストしてボトムまで22カウントかかった。
先ほどのポイントの半分ほどの水深だ。
水深がない分、テンポよく探れるだろう。
エギをキャスト。
5回大きくしゃくってフォール。
4回ワンピッチジャークでフォール。
左手の中指と薬指にリールから伸びるラインを引っ掛け、ラインを注視していた時、一瞬の違和感が指に伝わった後、沈むエギに引っ張られて張っていたラインが大きくふけた。
ラインスラックを取って勢いよくロッドを立てる。
グンッという重量感の後、グイ~ン、グイ~ンーというアオリイカ特有の引きが伝わってきた。
ポイント移動、正解!
思わず一人でニヤついてしまう。
ほぼフルキャストした先のボトム近くで掛けたので、じっくりと楽しみながら、しかしバラしては元も子もないので、ラインテンションを緩めないように慎重にリールを巻いて波止へと抜き上げた。
遠くのボトムで掛けたせいか、やりとりの最中にはそこそこの重量感と引きを感じたが、上げてみるとさほどの大きさはない。
計測すると胴長は19cm。
エギの重さを引いて、重さは345gだった。
小さくても何でも沼島遠征1杯目のイカはうれしい。
気を良くしてエギをキャストする。
ジャークとフォールを繰り返すが、次のアタリはなかなか来ない。
しばらくエギを投げたが反応がないので、またポイントを移動。
少し水深のある場所だ。
エギをキャスト。
カウント38でボトムだ。
ポイントが変わっても水深が変わってもやることは同じ。
5回大きくジャークしてフォール。
4回、3回と回数を変えながらワンピッチジャーク。
エギが波止際まで来たところで、波止の基礎石に引っ掛からないように一気に水深の半分程度までジャークでエギを跳ね上げる。
ジャークの後にクルクルッとリールを巻いてエギの頭をこちらに向け、テンションフォールに移った次の瞬間、ロッドティップがグイっと引っ張られた。
ロッドを立てる。
先ほどのイカよりも重量感も引きも弱いようだ。
手前で掛けたのでイカはすぐに浮いてきた。
明らかに1杯目のイカよりも小さい。
胴長17cm。
重さは計測しなかった。
この後、夕マズメの時間帯は不発。
夕食をとってしばし休憩した。
10月26日19時~24時
19時。
港の常夜灯も点き、いかにもと言った感じの良い雰囲気だ。
しかし、、、。
常夜灯の周りをヘッドライトで照らしてみてもアジの姿がない。
「な~んも釣れてないで」
そう言った後、沼島汽船の船員さんは、
「イワシもアジもおれへんもん。そりゃイカも青物も釣れへんわ」
と付け加えた。
どうやらその言葉も話半分ではないらしい。
まあ嘆いていても仕方ないので、常夜灯の周りのポイントで釣りを再開する。
エギはオーシャンルーラー エギスタ 3.5号 赤グリーンカラーでスタートだ。
しばらく水深の深いポイントを探ってみたがアタリがない。
そこで同じ常夜灯の灯りが効いている波止の反対側にポイントを移動。
エギスタをフルキャストしてジャーク&フォールを繰り返す。
4回エギをジャークした後、テンションフォール。
ラインを引っ掛けた左手の指に全神経を集中させてアオリイカのアタリにそなえていた時だ、後ろでガサッという音がして冒頭の「白猫菓子パン盗難事件」が起きたのは。
どこの漁師町にも見られると思うが、沼島の波止には野良猫が何匹か住み着いている。
これまでもぼくが釣りをしていると、少し距離を置いた場所から物欲しそうな顔でこちらを見ていることがよくあった。
そんな時はサビキで釣れたアジなどを投げてやったりしたのだが、その恩も忘れて大切な朝食のパンを盗むとは・・・!
腹立ちまぎれに大きくしゃくったロッドにグンッという重量感が加わった。
あれ?
猫に気を取られていたせいかアタリも何も分からなかった。
いや、猫に気を取られていた“間”が絶妙の“食わせの間”になったのだろうか?
怒るべきなのか感謝するべきなのか!?
どうでもいい問題に悩みながらイカとやり取りする。
もしかしたら猫が呼び寄せてくれたのかも知れないイカは、これまでで一番良い引きを楽しませてくれた。
良く引いただけあって、これまでのイカよりも少し大きく感じる。
胴長は20cm。
やっと20cmに届くアオリイカが釣れた。
重さは345g。
重さは最初に釣れた19cmと同じだった。
それにしても、、、。
猫に気を取られたのが良かったのか悪かったのかは分からない。
分かっていることはただ一つ。
あの白猫には今後一切釣れた魚はやらない!ということだ。
大人げないと言われようがどうだろうが構わない。
食べ物の恨みは一番怖いのだ。
あの白猫には、今後一切、釣れた魚はやらない!!
・・・・・・。
釣り再開。
ここからはアオリイカのアタリと、後ろに置いてあるキャリーワゴンの両方に神経を集中させての釣りとなった。
常夜灯の周辺で釣りを続けていたが、一向にアタリがなくなったので思い切って波止の先に移動。
もちろん、キャリーワゴンを引いての移動だ。
波止の先の水深はさらに深い。
エギをキャストした先で20メートルを超えている。
エギをヤマシタ エギ王Qライブ 3.5号 赤エビカラーに替えてフルキャスト。
エギがボトムに着くまで時々後ろを振り返りながらゆっくり待つ。
せっかく時間をかけてボトムまでエギを送り込んだので、ここではスラックジャークでボトムをネチネチと攻めてみることに。
パンパンッとラインをはじいて1~2回リールを巻く。
スラックジャークを3回ほど繰り返した後、小さなショートジャークを3回入れてフォール。
左手の指にかけたラインにエギの重さ以上の重みを感じた。
大きくアワセを入れるがイカが乗った感触はない。
しまった、アワセが早過ぎたか……。
もう一度小さく3回ショートジャーク。
カンナに掛かっていなければこれでエギを抱いてくるはず。
少し待ってロッドティップで聞いてみると重さを感じる。
そのまま大きくロッドを立てると今度はイカが乗った。
大きくはないようだが、水深20メートルからのやり取りをゆっくり楽しんで波止へと抜き上げた。
どうにもサイズが上がらない。
胴長17cm。
重さは計測しなかった。
この後もポイントを移動しながらエギを投げたがアオリイカの姿を見ることができず、24時にいったん休憩・仮眠を取ることにした。
10月27日3時~11時
翌27日2時30分。
目が覚めて体を起こそうとすると、背中やら脇腹やら、あっちこっちがギシギシと痛む。
晩秋の波止の上での仮眠は老体には堪えるようだ。
痛っタタタ……。
やっとの思いで起き上がり、昨日回ったポイントから大きく移動して、別の常夜灯のあるポイントでエギングを再開する。
しかしそのポイントでも、次に移動したポイントでもアオリイカのアタリはまったくない。
結局、最初に入った常夜灯のポイントに戻ってエギを投げることになった。
エギはヤマシタ エギ王K 3.5号 パープルシャドウカラーだ。
フルキャストしたエギをカウントダウン。
スラックジャークでボトムを攻める。
パンパンっとラインをはじいてフォール。
パンパンパンッでフォール。
パンパンパンパンッでフォールさせているエギが再着底する頃に、左手の指にかけたラインから微妙な違和感が伝わってきた。
少しラインを引っ張ってみるとエギだけではない重みを感じるが、ラインが張っていくような重みではない。
おそらくボトムにあるエギを居食い(居抱き?)しているのだ。
アワセを入れる。
ジィィィッとドラグが鳴り、続いてロッドティップをグイグイと引っ張るイカの引きが伝わってきた。
重みと引きの強さは昨日の胴長20cmよりも上のように感じる。
足元まで寄せ、エギの掛かり具合を確かめてからゆっくりと波止に抜き上げた。
大きくはないが重量感は一番だ。
まず重さを測ってみると400g。
昨日の345gを上回った。
胴長は19.5cm。
長さでは昨日の20cmには及ばなかった。
ふと時計を見ると6時前。
朝マズメの良い時間帯だと、気合を入れてエギを投げ返す。
今のイカがボトムで釣れたので、今度もボトム中心に攻めてみる。
パンパンッとスラックジャークを入れてフォール。
そのまま少し待つ。
パンパンッでフォール。
パンパンパンッでフォール。
少し待ってパンッとラインをはじいた時に重さを感じた。
ロッドを立てるとイカの重み。
そのままリールを巻くが、最初にクイクイとイカらしい引きをみせた後はまったく抵抗しない。
もっと引いてくれよ~。
独り言を言いながらリールを巻いているとすぐにイカが浮いてきた。
が、なんだか少し形が違う・・・。
コウイカだ。
だからあまり引かなかったんだ。
墨を撒き散らさないようにそ~っと抜き上げ、そ~っとそ~っと波止へと置いた。
小さいがコウイカは胴が分厚いので重みがある。
胴長13cmほどのおチビちゃんだった。
何とか良型のアオリイカを釣りたいとこの後もエギをしゃくり続けたが、朝マズメの時間は過ぎてしまった。
幸運にも白猫の手に渡らなかったもう一袋のパンで朝食を済ませ、最後に見えイカのサイトフィッシング。
チビアオリを1杯追加して(リリース)、1泊2日の沼島エギング釣行を終了することにした。
思っていたような良型のアオリイカは釣れず、ちょっと(かなり)悔しい結果になってしまったが、あの白猫には二度と釣れた魚はやらないという決意を新たに、土生行きの沼島汽船に乗り込んだのでした。(^^;
※本当は・・・
野生の動物に人間が食べ物を与えるのはNG行為。パンを盗まれようが盗まれまいが、野良猫には食べ物は与えないというのが、野生の動物に対する正しい接し方なのかなと思います。(^^ゞ
本日のエギングタックル
ロッド
ダイワ エメラルダス MX 86ML
リール
ダイワ 14エメラルダス MX 2508PE-H
ライン
ユニチカ キャスライン エギングスーパーPEⅢ 0.5号
リーダー
YGKよつあみ 海藻ハリス 1.75号
ヒットエギ
ユニチカ エギエスツーβ 3.5号 オリーブ スギ グリーンカラー 他
エギエスツーβはPE2段シャクリでおなじみ杉原正浩さんプロデュースのエギ。
グリーンが下地のこのカラーは初めて使ったが、なかなか釣れずに苦戦する中で2杯のアオリイカを連れてきてくれた。
また明石でも使ってみたいと思う。
白猫に盗まれたパンを乗せていたキャリーワゴン
FIELDOOR ワイルドマルチキャリー スマートタフ
沼島遠征時に欲しいなと思っていたキャリーワゴン。
太いタイヤなので舗装されていない道でも引っ張りやすい。
容量126L、耐荷重150kgと、たくさんの荷物も余裕で運べる。
使わないときは折りたたんでコンパクトにしまっておけるのも良いところだ。
本日の料理/アオリイカのしゃぶしゃぶ・煮付け
沼島から帰ったら「今日の夕食は水炊き」ということだったので、持ち帰ったアオリイカはしゃぶしゃぶにすることにしました。
その日の夕食で食べきれなかったイカは甘辛く煮付けにしていただきました。
アオリイカはどんなふうにして食べても美味しいですね。(^^)